船橋市薬円台内科小児科心療内科クリニック
薬園台クリニックの院長からのメッセージ

後期高齢者医療制度について

 平成20年4月から実施された後期高齢者医療制度(長寿ー)についてですが、これは、いかがなものでしょうか?と感じる部分がいくつもあります。簡単にではございますが、私の考えを書かせていただきます。
 この制度で目につくのはだいたい次のようなことでしょうか。
@75歳以上のかたの医療保険が独立したものとして分離された。
A保険料がある特別な場合以外は年金から天引きされる。
B保険料の滞納がある期間以上で保険証を徴収され、代わりに短期保険証・資格証明書が発行される。
C診療報酬の改正で、75歳以上の方の主治医、すなわち、かかりつけの医療機関、1機関のみ後期高齢者診療料として600点を月に一回算定できる。

@ABについては、感情的に賛成しかねるとは考えますが、あまり建設的ではないので、何も書きません。問題はCの新たな診療報酬の創設だと思います。600点という新たな診療報酬は、75歳以上の方の主病を診ている一つだけの医療機関のみが算定できます。他の医療機関はその報酬を算定することはできません。
 また、600点の中には血液検査や尿検査、レントゲン検査などが含まれていて、それらを施行しても報酬を算定できません
なんだか、分りにくいのですが、簡単に書くと主治医の病院を決めて、そこだけが収入が増える。例えば、糖尿病の患者様が合併症として重要な網膜症の検査・治療で他の医療機関である眼科を受診しても、診療をした眼科クリニックは報酬を申請できないのです。そうすると、どうでしょうか?医療機関にとっては、他の医療機関は報酬を要求できるが、同じ病気によっておきている一つの病気なのに自分のところは報酬が低いということなのです。どういう行動につながるかはわかりませんが、普通の人間の感情としては面白くないと考えるかもしれません。 今までのように、一つの病気で2つの医療機関を受診し、ダブルチェックをしたり、複数の医師の治療方針や病気についての情報を聞いて、自分の病気の治療の参考にする、見逃しを極力防ぐ、ということをすると、かたや、増収、かたや同じことを患者様にしても収入はもう一方より少ない。事実上、フリーアクセスがあまりされないようになる可能性があるように感じられます。手間はかかるが報酬は少ないなら、報酬の多い医療機関に任せます。というようになるのではないかと恐れます。
 もう一つ大きな問題なのは血液検査、レントゲン検査、尿検査、簡単な処置など、慢性の病気を診察する上で必要なものは、それをしても、報酬は600点に含まれているので請求できない、すなわち、検査にかかる費用はいくら大きくても報酬額は同じということですね。そうすると、検査や処置が少なければ少ないほどかかる費用は少ないので、純粋な利益は大きくなるということです。
 こうなると、医学的に適切で病状の評価をしたり、合併症をなるべく早期に見つけ、手遅れにならないように、計画的に、定期的に検査をし、患者様の病気のコントロールをしっかりと、熱心にしている医療機関ほど利益は少なくなるはずです。また、病気が複雑だったり、重かったり、複数ある患者様は必然的に調べることが多く、検査回数も増えるため、時間や手間は多いのですが利益は少なくなります。
 医療機関も利益を出さなくてはなり行かないので、時間はかかるし手間もかかる、だけど利益は少ないという方を診るより、時間は少なくて、手間も少ない、でも利益は高い、軽症の高血圧や高脂血症のような方を診察する方を好むのではないでしょうか?
 大部分の医者は良心に従って、行動をするはずですので、そんなに影響はないと思いますが、多少の不安は捨てられません。
 医療はサービス業だという方がいらっしゃいます。明らかにそれは間違っているのですが、というのは、サービス業であるならば、サービスの対価である金額を医療機関が自由に設定できなければおかしいのですが、それは不可能で全国どこでも一律です。また、良いサービス、質の高いサービスを求めるなら、患者様はそれ相応のお金を払わなくてはならないはずですが、そんなことはありません。例えば宿泊の時、良いサービスを求めて、高級ホテルに泊まろうと思えば、どこにでもあるビジネスホテルよりも値段は高いですよね。余談ですが、アメリカで日本と同じような医療を受けたら患者様のお支払いする金額は桁が一つまたは二つあるいはもっと多くなります。日本の医療も段々、そういう方向に向かっていると思われます。そういった、アメリカ型医療になることを望んでいる医者はかなり多数います。あまり、感心する考えではありませんが、彼らの話を聞くと、無理もないかと、あまり非難はできないなーという気持ちになります。
 本題に戻りますが、このようなことが実際に行われると、高齢の方が広く病気についての助言を受けるために複数医療機関の受診が事実上しにくくなったり、より良い病気のコントロールのための検査などが必要以下になったり、重症な方や複数の疾患を合併している方は、医療機関に敬遠されるといった事態が起こると考えられます。
 以上を考え、薬園台クリニックでは、75歳以上の患者様で慢性疾患を定期的にそして今後も継続して診察する方の診察料に、医療の質を落とさないために、そしてフリーアクセスを制限しないで済むために、算定が可能ではありますが、後期高齢者診療料の600点は請求しないことに決定しました。今後状況が変わり、良質な医療を受けられることが約束されるような時までこの経営方針は続けられます。
 当クリニックで診察を受けてくださる患者様は、医療の質を高めたり、情報量を多くする目的で、他の医療期間の診察を大いにしてください。そして、後期高齢者診療料を算定する病院はまだ決まっていないので、算定してもらって良いですよ。と、その時におっしゃってください。
 最後にまとめておきます。薬園台クリニックの診察で後期高齢者診療料は請求されません。他の医療機関で算定が望まれる時は、その医療機関で請求してもらって結構ですと仰ってください。また、このことにより、薬園台クリニックの医療の質が低下することは絶対にありません。
 最後までお読み頂き感謝いたします。


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